コンクリートがもてはやされた時代を経て、木の良さも再認識されているようです。
それは住宅だけでなく、幼稚園や学校、高齢者施設など、さまざまな施設で木材が
使われていることからも知ることができます。
建築上の制約などにより、ホンモノの木を使えない場合でも「せめて視角的に癒されたい」
という気持ちからでしょうか、"木目柄" "木調"の素材を使った空間も多く目にします。
フローリングや木製建具などの製品カタログを見ると、一般に、「ライトブラウン」
「ダークブラウン」「ミディアムブラウン」「ホワイト」などと、色の濃さによって樹種ごとに
名称をつけている場合が多いようですが、これを、色みの傾向からとらえていくと、
赤み寄りか黄み寄りかに分類することができます。
もちろん両方にまたがっているものも数多くあるのですが、基本は、色の傾向をその
どちらかに仕分けることができます。
不透明塗料でなければ、白い塗装を施した製品でも、樹木の色の特徴が表面に
あらわれるので、まっ白になることはなく、「黄みを帯びている白」か、「赤みを帯びている白」
として見ることができます。インテリアコーディネートをする場合は、この色みの傾向に沿って
各部位の内装色を選んでいくと、空間はまとめやすくなります。
たとえば、黄みを感じるダークブラウンの床だったら、それにあわせて、建具もドア枠も
黄み寄りのものを選ぶのです。もしも建具を白にするのなら、その白は「赤みがかった白」
ではなく、「黄みによった白」を選びます。家具も同じです。
メーカーの異なる家具を組み合わせる場合などは、全く同じ素材や色に揃えることが
できないことが多くあります。その場合は、色みの傾向を揃えていくと、全体的に
バランスが良くなります。
それは、木の色だけではありません。壁をビニールクロスにする場合でも、色の奥にある
"色みの傾向"を見るのです。たとえば、オフホワイト(黄みがかった白)の木製建具にピンクの
壁クロスを組み合わせる場合、そのピンク色は、やや黄みを感じるサーモンピンク系にします。
白とピンクで、色そのものは違っていても、色みの傾向が一貫するので、馴染みがよく、
全体的に調和感が得られるのです。この考え方を基本として、色の選定をしていくと、
インテリアはまとめやすく、心地よい空間をつくることができます。
【「木芽」Vol.142 アメニティ&カラープランナー葛西紀巳子寄稿抜粋】